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  • 2024年12月25日

Japanese Akane Root Dyeing赤い染め色をもとめて⑤『ニホンアカネ1年株の根染め』

赤く染まる染料材をもとめて調べていくうちに『アカネ』に出会いました。入手しやすい「インド茜」で染めトライをして「赤い染め色をもとめて②『インド茜の根染め』」のレポートを書き、そこで「『ニホンアカネの種』を入手したので進捗状況を違うレポートにしていく予定です。3年後にレポート書けることを期待してください」と予告したのですが、先日「『ニホンアカネ』を種からプランターで育ててみた」のレポートを書くためにニホンアカネを育てている大型プランターの置き場所を移動させたところ、鉢底から地面までかなりの本数の細い根が伸びていました。あわてて一鉢の根の様子を確認し、せっかくなのでその根で絹糸を染めることにしたのです。「なぜ年末のバタバタ期にこんなことをやりはじめたのか?」自分でも理解できませんが『《生根》と《乾燥根》では発色が違う』という文献も目にしてしまい、少量ずつですが自分で育てた素材で染めトライしてみます。

  • 材料・薬品

    1. ニホンアカネ1年株の根:110g
      ※収穫した時点の重さ
    2. ミョウバン:漬物用で家にある物を使用
    3. 浸染用錫液、浸染用チタン液:市販媒染剤
    4. 鉄媒染液、銅媒染液:市販媒染剤
    5. 抽出助剤:米酢

    染材(精錬した絹糸)

    1. 緒糸(キビソ糸):各5g
  • ニホンアカネ1年株の《生根》から染液を抽出

    掘りあげたニホンアカネ1年株の根110gの半分。
    約55gをそのままで染液を抽出します。
    軽く水洗いして乾燥しないように密封して数日保存。
    異物(土や他の植物の根)が入らないようにして細い根も全て湿った状態のままハサミで細かく切ります。

  • 【ニホンアカネ1年株の生根:50g】【ぬるま湯:750cc】【米酢:5cc】で、80℃~90℃まで温度を上げて30分沸騰させずに煮出す。熱いうちに漉して冷ます。1番液
  • 同じ条件で2番液、3番液を抽出。左から1番液。

染液の抽出方法は簡単に、ここで一旦終了
抽出量の1番液、2番液、3番液を合わせて。かなり煮詰まって【染液:1500cc】くらいです。

媒染方法は「赤い染め色をもとめて②『インド茜の根染め』」と同じに『先媒染(ミョウバン/スズ/チタン)』『後媒染(銅/鉄)』各3ccで実施

  • 抽出液に染材を入れる。80~90℃で30分浸染。媒染剤による色変化を見るために、テープを色分けして5本を一緒に染める
  • 左から《チタン先媒染》《ミヨウバン先媒染》《スズ先媒染》《銅後媒染》《鉄後媒染》
  • ニホンアカネ1年株の《乾燥根》から染液を抽出

    掘りあげたニホンアカネ1年株の根110gの半分。
    約55gを乾燥させて染液を抽出します。
    軽く水洗いして異物(土や他の植物の根)を取り出して細い根も全てを数日間、風通しの良い室内で乾燥。
    約10.6gになった乾燥した根をハサミで細かく切ります

  • 【ニホンアカネ1年株の乾燥根:10.6g】【ぬるま湯:750cc】【米酢:5cc】で、80℃~90℃まで温度を上げて30分沸騰させずに煮出す。熱いうちに漉して冷ます。1番液
  • 同じ条件で2番液、3番液を抽出。左から1番液。

染液の抽出方法は簡単に、ここで一旦終了
抽出量の1番液、2番液、3番液を合わせて。
1番液の最初に水分をかなり吸収したので抽出液がかなり少なくなった。2番、3番と水を多めにして合わせて【染液:1500cc】くらいです

媒染方法は「赤い染め色をもとめて②『インド茜の根染め』」と同じに『先媒染(ミョウバン/スズ/チタン)』『後媒染(銅/鉄)』各3ccで実施

  • 抽出液に染材を入れる。80~90℃で30分浸染。媒染剤による色変化を見るために、テープを色分けして5本を一緒に染める
  • 左から《チタン先媒染》《ミヨウバン先媒染》《スズ先媒染》《銅後媒染》《鉄後媒染》
  • 赤い染め色の『ニホンアカネの根染め』

    『ニホンアカネ』はほぼ『インド茜』と同じ色味となりました。《生根》と《乾燥根》の違いは、わずかに《乾燥根》の方が濃度が高いと感じられました。しかし、染め作業が全く同じ条件とはならないので、ゆれレベルと云えるかもしれません。
    左が《生根》右が《乾燥根》として各媒染順

    1. 《チタン先媒染》ミョウバンと同じ色目で黒味がある赤・紅海老茶
    2. 《ミヨウバン先媒染》黄色みのある明るい赤・くすんだ緋色
    3. 《スズ先媒染》ミョウバンと同じ色目で白っぽく
    4. 《銅後媒染》白っぽい茶系(べージュ)
    5. 《鉄後媒染》銅よりさらに彩度を低くしたベージュ

Color Chartカラーチャート

ニホンアカネ1年株の根を染めた結果『インド茜』とほぼ同じ色味で濃度は約70%と云う感じでしょうか。《生根》と《乾燥根》を比較したところ、《生根》の方が黄色味が強いのと《乾燥根》の方が濃度が高い感じがします。しかし、横に並べて比較しないとわからない程なので、天然染料の【染めゆれレベル】だと思います。

赤い染め色の『ニホンアカネの根染め』《1年株生根》

市販媒染液

  • 《ミョウバン先媒染》
  • 《スズ先媒染》
  • 《チタン先媒染》
  • 《銅後媒染》
  • 《鉄後媒染》

赤い染め色の『ニホンアカネの根染め』《1年株乾燥根》

市販媒染液

  • 《ミョウバン先媒染》
  • 《スズ先媒染》
  • 《チタン先媒染》
  • 《銅後媒染》
  • 《鉄後媒染》

※このカラーチャートは私chackeeが染材の仕上がりを目視で数値化し、サイト表示したもので、あくまでイメージです。

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