- Texstyle / Dyeing
- 2024年7月15日
Saffron Dyeing貴重なインド カシミール産の『サフラン染め』
サフランで染色ができる時がやって来るなんてと、とても喜んでいます。
サフランについて調べてみると必ず「香辛料や生薬、染料として用いる」と書かれています。染めトライをはじめてから「いつかはサフランで染めてみたい」と思っていました。日本でサフランといえば高級品で、数本をお料理の色着けでつかう程度。染料として大量に使うなんて全く考えられない、高価で入手困難な香辛料なのです。
サフランはクロッカスに似たムラサキ色の花の雌しべだけを摘み取って乾燥させたものです。先日、インドのカシミール地方へ行ってきました(旅行記執筆中)。カシミールはインドですが、おもてなしでいただくお茶は多くの地域で飲まれるミルクティのチャイではなく、サフランにシナモンやカルダモンといったスパイスを効かせたクリアなお茶「kahwa tea(カワティ)」というものでした。生活の中で普通に多く飲まれているのがサフラン ティということもあり「サフランも入手しやすいのでは!」と思いました。お土産用にとそれでも高価なので少しだけ購入しましたが、聞いてみるだけでもと、品質は二の次で「染色用にとブロークンサフランは入手できないか?」と現地の方に相談。『飲食では使わない』という条件で少しだけ安価な物を用意していただきました(それでもまあまあのお値段ですが。。)。受け取った物はとても赤くキレイで、決して劣悪には見えないサフランです。期待以上の量を入手できたのでさっそく染めてみます。
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材料・薬品
- カシミール産サフラン:3g(もう少し多めにすれば良かった)
- ミョウバン:漬物用で家にある物を使用
- 浸染用錫液、浸染用チタン液:市販媒染剤
- 鉄媒染液、銅媒染液:市販媒染剤
- 抽出助剤:米酢
染材(精錬した絹糸)
- 緒糸(キビソ糸):各10g
道具
- ホーロー鍋
- 【サフラン:3g】お茶パック(不織布)に入れる。【ぬるま湯:1500cc】で、80℃~90℃まで温度を上げて30分沸騰させずに煮出す。サフラン投入後、思ったより赤い染液となりました
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サフランから染液を抽出
【サフラン:3g】染料としてはかなり少量です。
染色の資料がネット上にほとんど無く、染め方法や量を迷います。
他の染料と同じようにやってみます。
黄色い液が出ると考えていましたが、思ったより赤い抽出液です。
染液の抽出方法は簡単に、ここで一旦終了
- 染材をテープを色分けして各媒染剤で《先媒染》
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先媒染(ミョウバン/スズ/チタン)※タマネギと同じ
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:5cc、ミョウバン:4gは熱湯で溶かす】を入れ撹拌
- 染材(絹糸)を入れる
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って脱水
媒染剤による色の違いを確認するため《ミョウバン先媒染》《スズ先媒染》《チタン先媒染》《銅後媒染》《鉄後媒染》の5つの媒染剤のために染液は同浴で一緒に染めます。《後媒染》グループは30分ほどお湯に浸してから絞っておきます。
- 《先媒染》田中直染料店「草木染薬品」浸染用錫液、浸染用チタン液
- 《後媒染》誠和「草木染薬品」鉄媒染液、銅媒染液 ※すでに閉店されてます
- 抽出液に米酢を入れて少々酸化。染材を入れる。80~90℃で30分浸染。媒染剤による色変化を見るために、テープを色分けして5本を一緒に染める
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染液から取り出して水でよく洗って脱水。
サフラン抽出液での染め作業はここで一旦終了。
《先媒染》グループはここで完了。
- 無媒染で染めた染材を各媒染剤で《後媒染》(参考:鉄媒染)。媒染液がかなり黄色く染まった。
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後媒染(銅/鉄)
- 【水:1000cc】を加熱
- 80℃程度になったら【各媒染剤:3cc】を入れ撹拌
- 無媒染で染めた染材(絹糸)を入れる
- 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
- 火から降ろして冷却し絞る
- お湯でよく洗って脱水
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カシミール産の『サフラン染め』
染材の6%と少ない染料での染まり具合。最初の抽出時に早くから赤い色が出ている感じだったので、そのまま進めましたがやはりもう少し増やすべきだったようです。《先媒染》グループがかなり染めムラができてしまった
- 《チタン先媒染》薄いペールオレンジ
- 《ミョウバン先媒染》チタンより赤味の少ないペールオレンジ
- 《スズ先媒染》ミョウバンとほぼ同色
- 《鉄後媒染》わずかにグレーッシュなピンク
- 《銅後媒染》ベージュ
Color Chartカラーチャート
カシミール産の『サフラン染め』
「サフラン染め」は思い描いていた【黄色】とは異なり、かなり赤味のある色となりました。カシミール産のサフランの雄シベはかなり赤いからかもしれません。サフランの量をもう少し多く使用し、再度染めトライするつもりです。色の吸収が早く《先媒染》グループは染めムラができてしまいました。《後媒染》は思っていた色調とは違い《鉄後媒染》がピンク色で《銅後媒染》がベージュになったのが興味深いです。
市販媒染液
- 《チタン先媒染》
- 《ミョウバン先媒染》
- 《スズ先媒染》
- 《鉄後媒染》
- 《銅後媒染》
※このカラーチャートは私chackeeが染材の仕上がりを目視で数値化し、サイト表示したもので、あくまでイメージです。