• Texstyle / Dyeing
  • 2024年5月25日

Cherry Blossom Dyeing甘楽小幡の桜の伐採心材で『サクラ染め』

昨年、わが家に隣接している公共施設にあり「うちのサクラ」と勝手に命名していた古木のサクラが新しい施設建築のため、花後に完全に抜かれてしまいました。それをサクラメーターとしていた私の今年の春は、季節感がわかないうちに夏になってしまった感じです。隣接施設のサクラは高いフェンスに囲まれた中で、大型重機によって根こそぎあっという間に抜かれてしまったので「サクラの枝が欲しいです」などとお願いするヒマもない出来事でした。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と云われるようにサクラはほとんど剪定せずに育てるので、伐採以外で小枝を入手するのは難しく『サクラの木で染めてみたい』という気持ちが残ったまま身近のサクラはなくなっていました。
先日、サクラの季節も終わり友人と歴史ある隣町の甘楽小幡付近を散策をしていたら並木内の神社の参道で虫の駆除のためにサクラを伐採しているオジサンに出会いました。目の前の転がっている伐採枝を見ながらそのオジサンに『染めてみたいので何本か枝をもらえないか?』と声掛けしたところ、快くすぐかなり太目の幹部分の長さを切って揃えてくれたのです。ですから「別の細目の枝が欲しいです」とは言いにくく、すでに虫が発生中でかなり枯死が進んでいる伐採心材をいただくことになりました。結果としてこのいただいた伐採心材で発色するのかどうか。。不安なままですが今回はこれで染めてみます。

  • 2024年4月初めの小幡の桜並木。染めに使ったのは並木のサクラではありません
  • 材料・薬品

    1. サクラの心材(太目の幹):500g
    2. ミョウバン:3g:漬物用で家にある物をお湯で溶いて使用
    3. 浸染用錫液、浸染用チタン液:市販媒染剤
    4. 抽出助剤:米酢

    染材(精錬した絹糸)

    1. 絹糸(緒糸(キビソ糸)):10g×3

    道具

    1. ホーロー鍋

サクラの伐採心材から染液を抽出

サクラ染めの資料は数多くありますがほとんどが細い枝や樹皮での染め、心材での染めはあまりありません。やはり心材には色素がすくいないのでしょうか?期待できませんが染めトライしてみます。

  • 1~2cmあるサクラの心材
  • チップにしたいがうまく切断できず、5~6cmの長さにして【水: 2000cc】で1時間。あまり沸騰させずに煮る
  • 最初はかなり薄めのベージュのまま
  • 米酢を入れたり、液のバット移動など強制酸化を繰り返したので、ほんの少し抽出液は赤くなった

染液の抽出はここで一旦終了

  • 染材をテープを色分けして各媒染剤で《先媒染》
  • 先媒染(ミョウバン/スズ/チタン)※タマネギと同じ

    1. 【水:1000cc】を加熱
    2. 80℃程度になったら【各媒染剤:3cc】を入れ撹拌
    3. 染材(絹糸)を入れる(事前に染材をぬるま湯で濡らしておく)
    4. 弱火でゆっくり温度を上げて30分ほど煮沸(沸騰させない)
    5. 火から降ろして冷却し絞る
    6. お湯でよく洗って絞る
  • サクラ染め

    1. 30℃程度になったら染液に染材(絹糸)を入れる
    2. 弱火でゆっくり温度を上げてカセを手繰りながら50分~1時間煮沸
    3. 火から降ろして30℃くらいまで冷まし絞る
    4. ぬるま湯で3~4回、よく洗って脱水
    5. 絡まらないように捌いてから陰干し
  • 桜の伐採心材で『サクラ染め』

    サクラの心材ではほとんど染まりませんでしたが、どれも生成の糸よりはキレイなベージュに染まっています。
    結果、本当に薄いですが失敗とは言わないでおきます
    太い幹の心材には色素が少ないようです。ウメ染めの時のように、細い小枝や樹皮だけの方が色素を多く含むようです。

    1. 《ミヨウバン先媒染》
    2. 《チタン先媒染》
    3. 《スズ先媒染》

サクラの伐採心材から染液を抽出②

染めを一度終了して、心材を捨てる前に水につけて数日放置しておいたら、少しだけ赤っぽい色が出ていたので酢を加えてもう一度加熱。何度か鍋間を強制的に移動させて酸化、これを抽出液として染めてみました。

  • 数日水につけて放置した心材の液に色がベージュになっていたのでもう一度加温
  • 抽出液を移動させながら酸化を繰り返す。最後は漉して染液にする

2度目の染液の抽出はここで一旦終了
前回と同じ方法で《ミヨウバン先媒染》《チタン先媒染》《スズ先媒染》

  • サクラ染め②

    1. 30℃程度になったら染液に染材(絹糸)を入れる
    2. 弱火でゆっくり温度を上げてカセを手繰りながら50分~1時間煮沸
    3. 火から降ろして30℃くらいまで冷まし絞る
    4. ぬるま湯で3~4回、よく洗って脱水
    5. 絡まらないように捌いてから陰干し
  • 桜の伐採心材で『サクラ染め』②

    本などで薄めの色は「媒染 → 染めを繰り返す」とあったので、一度だけ繰り返してみました。新しく染料材を用意したわけではないので期待薄でしたが、ほんの少しだけ濃くなりました

    1. 《ミヨウバン先媒染》
    2. 《チタン先媒染》
    3. 《スズ先媒染》

Color Chartカラーチャート

桜の伐採心材で『サクラ染め』

《ミョウバン先媒染》《チタン先媒染》と《スズ先媒染》
染まり具合は『新春の「枝垂れウメ」で『若枝染め』』ぐらいを期待していましたが、『実生のベニバナ花弁で『花びら染め』』の《無媒染》と同程度の染まり具合です。サクラの新しい枝が手に入り次第、もう一度染めトライをしてみようと思います。

市販媒染液

  • 《ミョウバン先媒染》
  • 《チタン先媒染》
  • 《スズ先媒染》

桜の伐採心材で『サクラ染め』②

《ミョウバン先媒染》《チタン先媒染》と《スズ先媒染》
廃棄する前の同じ心材でもう一度染めてみました。ほんの少しだけ濃くなったのが確認できます

市販媒染液

  • 《ミョウバン先媒染》
  • 《チタン先媒染》
  • 《スズ先媒染》

※このカラーチャートは私chackeeが染材の仕上がりを目視で数値化し、サイト表示したもので、あくまでイメージです。

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